P - Please D - Don’t C- Change A - Anything

いつでも今日が、いちばん辛い日。

俺の係長

俺の直属の係長(女性)は天然だ。

 

最近あった事象としては、

係「あれ!?私の電卓は!?私の電卓何で無いの!?(ムスッ)ねぇ、知らない!?」

俺「えっ、知らないです、どっかの部屋に置いてきたんじゃないですか?(知るわけがないだろ…)」

係「ああもうっ、どこだどこだ!ドタドタ」

俺「その手に持ってるのって違いますか?」

係「あー!あった!ドタドタ」

俺「」

 

など、

 

係「これからは、商談で今後のスケジュールを握ってきた際には、決まったコメントを画面に入力して共有するようにします。」

俺「決まったコメントって何ですか?」

係「K を入れます。」

俺「えっ、何でKなんですか?」

係「ん?OKのK!」

俺「」

 

など、

 

過去、係長が平だった時代には、

平「私、すごい会社見つけたんです!誰も担当していないんでTELクリしてみていいですか?」

上司「おお〜、何ていう会社だ?」

平「"月極"っていう会社です!たくさん看板があって、電話番号も書いてありました!」

上司「」

 

などである。が、そんな彼女も一児の母である。アポイントに同行した際も、夫の愚痴を吐きながら、処理しきれずにサボテンみたいになってたすね毛がチラリと見えていたのはまだ、記憶に新しい。

 

ウチの会社では定期的に「ビジョン・ミッションアワード」というお題目で、良い仕事を共有する場が設けられる。社員に強制的にESを書かせ、そのESに対してトーナメント形式で係長、課長、部長と評価が下され、最終的に役員が数名を選出。約2,000人を目の前にプレゼンする。という、絶対的に選出された側が気の毒で鬱にもなり兼ねないような企画である。

 

本日はESの提出日であった。ESを記載したうえで、係長と数名の同僚の前で発表。生憎、適当に書いた俺のESが係長より選出されてしまった。

「クソ、めんどくせっ、金にならない仕事ほど無駄なものはねぇわッ!クソッタレ」と思いながらも嬉しそうにしてやった。係長は喜んでいやがった。この脳筋社畜バカめ。

 

しかしながら、係長は俺のESの内容が若干気に食わなかったみたいで、修正して欲しいと依頼をかけてきた。

係長が課長に向かってプレゼンするのは明日。よって、納期は本日中である。本当に適当に書いた自覚もあったし、係長に恨みは無い。基本的には良い人なので、係長の顔を潰さないように何とかしてあげたいが、午後から遠方へアポイントのため、修正が遅くなることを伝えた。

すると、「内容は分かったから私がやっとくわ。」っと、ここは私に任せて先に行けッと言わんばかりであった。格好良いよリーダー。俺はちょっと濡れていた。望むならペッティングしてやっても良い。すね毛は剃らせてもらうけどな。

 

俺は午後からアポイントへ出かけ、帰社したのが18時頃だった。係長は時限という制度のもと勤務されているので、もう既に退社されている。

俺のデスクの上にたくさん赤入れされて、訂正されていたESが置いてあった。

本当に頑張ってくれたんだなあとしみじみしていたが、よく内容を読もうと目を凝らすと、用紙と内容はぐっちゃぐちゃになっていた。何を言っているのか全く理解ができないのである。

「もっと感情的に!」という一文以外、何を意図しているのか全く分からない文章ばかりで、俺は困惑した。

もう、やけくそだ。誰がどう見てもやけくそだと感じてしまうくらいに、やけくそだ。

 

 

用紙を裏返すと、そこにはポストイットが貼り付けてあり、こう書いてあった。

 

 

 

 

「ごめん」

 

 

 

結局この時間まで仕事してるし、

この期待を裏切られた代償は、明日身体で払っていただこう。